新光電気グループでは、環境方針に「気候変動対策や資源の有効利用、生物多様性保全により豊かな社会づくりに貢献する」と掲げています。「事業活動が生物多様性からの恵みを受け、また影響を与えている」との認識のもと、中長期環境目標を定め取り組んでいます。世界的にも生物多様性の損失は、気候変動と並ぶ喫緊の課題となっています。
生物多様性の損失を止め、持続可能な社会にするために、事業活動における生態系に対する負の影響の低減と生物多様性の保全活動を推進していきます。
生物多様性への依存・影響を鑑み、持続可能で豊かな社会の基盤となる生物多様性の保全を目指し、社会と連携をとりながら人と自然のあるべき姿を追求し行動するために、生物多様性行動指針を定めています。
生物多様性行動指針
- 自らの事業活動における生物多様性の保全と持続可能な利用の実践
- 生物多様性保全を実現する社会づくりへの貢献
- 生物多様性保全を通じた人材育成
世界経済フォーラム(WEF)の「Global Risks Report 2024」には、今後10年で深刻度の高いグローバルリスクの3位に「生物多様性の喪失と生態系の崩壊」、4位に「天然資源不足」が挙がっています。この2つのリスクは、どちらも2023年度から順位を上げており、この1年の間に深刻度を増しています。「G7 2030年自然協約(Nature Compact)」でも、「ネイチャーポジティブ(自然再興)」という、「自然を回復軌道に乗せるために、2030年までに生物多様性の損失を止めて反転させる」目標が合意されており、今後、「カーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出ゼロ)」のみならず、「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の実現に向けた統合的対処が重要と考えられています。
新光電気グループでは、事業活動と生物多様性の影響を評価するため、世界自然保護基金(WWF)の生物多様性リスクフィルター(Biodiversity Risk Filter)を用いて、国内および海外の生産拠点における物理的リスクおよび評判リスクなどの生物多様性リスク評価を実施しています。
評価の結果、物理的リスクおよび評判リスクにおいて、「High」「Very High」のレベルに該当する生産拠点は確認されていません。
また、あわせて生物多様性総合評価ツールIBAT(Integrated Biodiversity Assessment Tool)を用い、新光電気グループの各生産拠点の半径3km以内に自然保護地域※1がないことを確認しました。その他、生態系への影響を考慮し、水リスク・水ストレス評価を実施しています。
今後も事業活動による生態系への負の影響を低減し、自然共生社会の実現を目指して活動していきます。
【生産拠点※2の生物多様性リスク評価(2023年度)】
報告範囲:新光電気グループ(国内)
新光電気および新光電気労働組合は、長野県が推進する「森林(もり)の里親促進事業」に参画しています。毎年社員やその家族が参加し、飯綱町霊仙寺湖周辺の町有林の整備を実施しています。
また、2021年度から長野県森林CO2吸収評価認証制度を活用し、整備した森林における1年間のCO2吸収量を見える化(数値化)しています。
※6 ※7のエリアで生育する樹木が当年度に吸収したCO2量
※7 当該年度新規認証分+過去認証分の整備面積
これらの活動を通じて、地域社会と連携した生物多様性保全活動の継続と貢献に努めます。
長野駅からほど近い場所に、市街地のオアシスのように広がっているのが「栗田総合センター」です。ここでは継続的に「自然環境調査」を行っています。
2023年度の自然環境調査では植物152種、陸上昆虫93種、水生生物22種が生息し、その多くが在来種であると確認できました。しかし、栗田総合センターや周辺の生態系を脅かすとされる外来種もわずかですが見つかっています。これらを指標種として駆除およびモニタリングを行っています。引き続き栗田総合センターの生物多様性の向上に向け活動していきます。
栗田総合センターのいきものたち
社員一人ひとりが生物多様性の重要性と事業活動との関係性を理解し、各自の業務や日常生活などにおいて、身近なことから行動できるよう、生物多様性に関する教育や啓発活動の強化をはかっています。