世界人口の増加、開発途上国の経済成長、気候変動などにより、世界的な水不足リスクが拡大しています。製造工程において多くの水を使用する新光電気グループにとっても、水資源の重要性は事業継続上の重要課題と認識し、水使用量の削減と循環利用を推進しています。
世界的に深刻化する水不足や水質汚染、洪水や渇水、水資源の競合など、水リスクによる影響が顕在化しています。
新光電気グループでは、水リスクに関するグローバルな評価ツールの1つである世界資源研究所(WRI)のAqueduct(アキダクト)を用いて、国内および海外の生産拠点における物理的リスク、規制および評判リスクなどの水リスク評価を実施し、生産拠点の状況を確認しています。
評価の結果、水リスクおよび水ストレスにおいて「高(High)」「極めて高い(Extremely High)」のレベルに該当する生産拠点はありませんでした。したがって評価時点において、水ストレス「高(High)」「極めて高い(Extremely High)」に該当する地域での取水や排水はありません。
【生産拠点※1の水リスク・水ストレス評価(2023年度)】
なお、取水の量としては、下記の円グラフのとおり水ストレスレベル「低~中(Low-Medium)」以下の地域からが 99%を占めています。
しかし、水リスク・水ストレスの状況は刻々と変化していくことを踏まえ、引き続き水使用量削減および水のリサイクル率向上をはかり、資源循環の最大化に取り組んでいきます。
【水ストレスレベル※5別取水量割合(2023年度 生産拠点実績)】
※5 Aqueduct3.0が定義した水ストレスレベル
報告範囲:新光電気グループ(国内)
2023年度は、「2020年度の水使用量の1.0%(38,270m3)以上削減する」という目標に対し、それを大きく上回る1.5%分(59,166m3)を削減し、目標を達成しました。資源投入の視点では、59,166m3分の新たな水資源の投入を回避することができました。この結果、中長期環境目標の活動を開始した2021年度からの3年間で3.8%分(146,811m3)を削減し、2030年度中長期環境目標の5%分削減に対し、順調な進捗となっております。
今後も新工場立ち上げや増産により水使用量の増加が見込まれるため、さらなる水使用量削減の取り組みを推進してまいります。
【中長期環境目標 水使用量削減実績累計】
【総取水量と原単位※6の推移】
※6 原単位:売上高1億円あたりの取水量
水使用量削減活動は、設備とプロセスの両面からアプローチを行い、水の再利用、製品洗浄等に使用する水の供給量見直し、および生産ラインの合理化を中心に行っています。
高丘工場(長野県中野市)では、既存設備の使用方法の見直しにより水使用量の削減を実施しました。めっき工程の薬品を含んだ空気が装置の外に漏れださないように散水するウォーターカーテンを設置している装置について、ウォーターカーテン用の供給水量を約33%カットしても影響がないことを確認しました。他の装置にも横展開を行い、合計2,310m3の水使用量を削減することができました。
以前より製造工程から排出される廃水をきれいな水に戻し、再度製造工程で利用する水のリサイクルに取り組んでいます。全工場平均の水のリサイクル率は40%以上を維持し、新たな取水の削減に貢献しています。
2023年12月に竣工した千曲工場(長野県千曲市)では、さらなる水の有効利用を目指し、製造工程から排出される廃水について細かく分別回収する廃水処理フローを、工場建設時の設計から採用しました。これにより、多くの水を再利用することが可能となりました。
今後、工場建設時に想定された稼働率に達すると、千曲工場の水のリサイクル率は従来工場の1.3倍となる見込みです。