トップメッセージ

半導体実装技術をもとに、
常にお客様のニーズを起点とし、
「限りなき発展」を果たしてまいります。

代表取締役社長倉嶋 進

皆様には、平素よりひとかたならぬご支援を賜り厚く御礼申しあげます。
第5世代移動通信システム(5G)の普及や、ビッグデータ、AI・IoTなどの活用の広がりによるDX(Digital Transformation)の進展が、経済や社会の仕組みに変化をもたらし、これまでとは次元の異なるイノベーションを生み出す可能性を秘めており、半導体は、その可能性を実現するキーテクノロジーとして革新を続けていくことが期待されるとともに、戦略的な観点からもその重要性がさらに高まる状況にあります。また、自動運転、EV(電気自動車)等の技術開発が加速する自動車市場や人々の健康を支える医療分野など、半導体は、今後も市場を拡大することが見込まれています。加えて、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを加速し、GX(Green Transformation)の実現に不可欠なテクノロジーの進化を支えるキーデバイスとして、半導体のニーズはさらに高度化・多様化することが想定されます。
当社グループは、半導体デバイスの優れた機能を人々の生活のなかへともたらすインターコネクトテクノロジーをベースに、高い競争力を持つ製品の開発に努め、お客様にとって価値の高い製品・サービスをご提供することにより、お客様の成功を支え、自らの発展・成長を目指してまいります。また、キャッシュ・フローを重視し、常に利益を創出できる強固な経営基盤の確立に努めてまいります。
さらに、当社グループの企業理念・指針である「SHINKO Way」の実践を通じ、ステークホルダーの方々との調和をはかるとともに、地球環境における喫緊の課題である気候変動をはじめ、多様なサステナビリティ課題に対する取り組みを通じて、持続可能な社会の実現と輝かしい未来の創造に貢献するべく、事業を展開してまいります。

2023年3月期の事業概況

2023年3月期におきましては、自動車、産業機器向けなどの需要拡大等を背景に期前半は受注が好調に推移しましたが、期後半において半導体市況減速による在庫調整等の影響を大きく受けました。一方、半導体市場の中長期的な拡大を見据え、主力のフリップチップタイプパッケージについては、新たに千曲工場(長野県千曲市)の建設に着手し、更北工場(長野市)・若穂工場(同)において設備増強をはかるなど、今後一層の需要増加が見込まれる高性能半導体向けに生産体制整備を推進しました。半導体製造装置向けセラミック静電チャックについても、高丘工場(長野県中野市)において2023年度稼働開始を目指し、新棟建設に取り組むなど、引き続き成長市場向けに重点的に経営資源を投下しました。また、期後半以降、半導体市況が減速するなかにあって、積極的な販売活動により受注確保に努め、全社において生産性向上およびコストダウン等に注力するとともに、一部設備投資について稼働時期の見直し等を行いました。これらの結果、フリップチップタイプパッケージは、期初において旺盛な需要が継続したものの、期後半以降、パソコン向けの需要減退の影響を大きく受け、また、リードフレームは、期後半にかけて半導体市況減速等により売上が減少しました。一方、セラミック静電チャック、IC組立およびプラスチックBGA基板は、需要が増加したことに加え、大幅な円安も寄与し、増収となりました。これらにより、売上高は2,863億58百万円(前連結会計年度比5.3%増)、経常利益は787億55百万円(同3.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は544億88百万円(同3.5%増)となり、前連結会計年度比で増収増益と、売上高、各利益とも過去最高となりました。

今後の見通し

今後の半導体業界は、パソコンやスマートフォン等の需要減退や在庫調整の長期化ならびに半導体輸出規制の影響等により、2023年の半導体市場はマイナス成長が見込まれるなど、厳しい市場環境となることが想定されます。一方で、5Gの普及、AI・IoTの活用拡大、DX(Digital Transformation)の進展等による社会・経済のデジタル化によって、今後も半導体は用途を広げ、需要は中長期的に拡大することが見込まれます。また、脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーへの転換や省エネルギーの推進をはじめとするGX(Green Transformation)の実現を支えるキーテクノロジーとして半導体の重要性が高まるとともに、高度化・多様化する市場のニーズや需要動向の変化に対し、迅速かつ柔軟に対応し得る開発・生産体制を構築することを要するなど、世界規模での競争が一段と激化することが見込まれます。
このような厳しい環境の下、当社グループは、全社において一層の生産性向上、コストダウン等の取り組みを強化するとともに、積極的な受注活動を展開することにより、売上確保をはかってまいります。また、高い成長が見込まれる市場向けに継続的・重点的に設備投資を実施し、生産能力の増強により売上の拡大をはかってまいりましたが、引き続き、当社製品・テクノロジーの中長期的な市場拡大の可能性を的確に捉えるべく、成長市場向けの設備投資・技術開発を着実に実行し、今後の発展を目指してまいります。半導体の一層の高機能化・高速化や省電力化等のニーズに対応するフリップチップタイプパッケージについては、当社6ケ所目の生産拠点として、昨年着工し、2024年度操業開始予定の千曲工場(長野県千曲市)の整備に注力するなど、サーバー向け等の先端半導体市場の拡大をふまえ、生産体制強化ならびに顧客基盤の拡充に取り組んでまいります。セラミック静電チャックについては、半導体製造装置市場の拡大に伴い、その基幹部品として継続的な需要伸長が見込まれることから、2023年度稼働予定の高丘工場(長野県中野市)新棟の整備等により、量産体制の拡充をはかってまいります。このほか、新井工場(新潟県妙高市)におきまして、半導体メモリーの高速化・大容量化に対応するプラスチックBGA基板の生産能力増強をはかるべく新棟の建設計画に着手するなど、半導体の高性能化に寄与する当社製品のさらなる市場拡大を目指してまいります。なお、中長期的な需要拡大をふまえたこれらの設備投資につきましては、市場環境もふまえ、必要により時期・内容を適切に判断し、実施してまいります。
当社グループは、引き続き成長が見込まれる半導体市場にあって、常にお客様のニーズを起点とし、機能・性能、コスト、品質すべてにおいてお客様にとって価値の高い製品・サービスを提供することにより、「限りなき発展」を果たしてまいる所存であります。